「10月CPIの上昇率鈍化を予想する株式市場→"落とし穴はないのか?"」
11月10日の東京株式市場は、米国株安を受けて売り先行の始まりとなりました。しかし、下がった場面においては買いも入り、下げ渋りました。今週は大幅高と大幅安の日が混在する週でしたが、安くなった場面では着実に買う勢力が存在することが確認されたと感じています。
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来週は米国で重要経済指標が発表されます。14日火曜日には10月のCPI(消費者物価指数)が発表されます。以下に、食品とエネルギーを含めた総合物価指数を時系列で示します。
総合物価指数の推移(前年同月比)
6月 +3.0%
7月 +3.3%
8月 +3.7%
9月 +3.7%
10月 ?
6月をボトムに7月、8月、9月と上昇率が高くなってきました。しかし、10月は3.3~3.4%への上昇率鈍化が予想されています。
11月1日のFOMC後のパウエル会見、3日発表の10月雇用統計の結果、市場参加者は「利上げ打ち止め」を信じてきました。いわば、10月CPIについても「きっと上昇率は鈍化する。利上げ打ち止め説を補強してくれるはずだ」と見ています。
だからこそ「落とし穴」に注意です。仮の話ですが、CPIの上昇率が8月・9月並みの3.7%となった場合、「利上げ打ち止め説」が揺らぐ可能性があります。
マーケットは、それまでの資金の傾きによって、材料に対する反応が違ってきます。利上げ打ち止め説によってナスダック指数が9連騰してきました。だから、資金は株買いに傾いています。そうした状況で利上げ打ち止め説が揺らぐと、マーケットの反応が意外に大きくなる可能性もあります。
以下に「前月比」のCPI変化率も掲載します。
総合物価指数の推移(前月比)
6月 +0.2%
7月 +0.2%
8月 +0.6%
9月 +0.4%
10月 ?
15日には米国の9月小売売上高が発表されます。こちらも時系列データを掲載します。
米国小売売上高
(前月比)
7月+0.5%
8月+0.8%
9月+0.7%
10月 ?
(前年同月比)
7月+2.6%
8月+2.9%
9月+3.8%
10月 ?
7-9月期決算はヤマ場を越えました。10-12月期の企業収益環境を考える上で、米国消費動向は重要です。
小売売上高は10-12月期の米国景気の読みにつながります。金融政策に与える影響も注視します。
11月10日午後3時20分記