「トヨタグループで持ち合い解消が進むのならば...」
「豊田自動織機の大幅高――投資家は売却加速を期待か」
「トヨタの10月グローバル販売は7%増加、生産は16%増加」
11月29日の東京株式市場は売り買い交錯となりました。大きな収穫があります。トヨタグループ企業によるデンソー株の売却が明らかになったことです。
「今後、トヨタグループにおいて持ち合い解消の動きが活発化するならば」――ここを意識したマーケットの動きが注目されます。豊田自動織機(6201)が大幅高となりました。豊田自動織機はトヨタ自動車の大株主として知られています。トヨタグループの有力企業の株式を大量に保有しています。
豊田自動織機の保有株
トヨタ 約12億株
デンソー 約2億8000万株
アイシン 約2000万株
豊田通商 約4000万株
時価総額45兆円のトヨタ株を7%強保有しています。トヨタ株だけで、保有株の価値は3兆円を超えます。上記のようにデンソー、アイシン、豊田通商の大株主でもあります。
豊田自動織機の主力事業はフォークリフトや自動車部品です。
「もし、トヨタグループの保有株を売却した資金を使って製品力の強化に使ったら、どのぐらい競争力が強くなるのだろう」、
「もし売却資金を使って自社株買いを行ったら、どれくらいの資本効率の改善につながるのだろう」、
こんな観点で企業を捉えると、株式投資の楽しみが増えます。豊田自動織機の株価急騰は、同社によるトヨタグループ株式売却が進むことを投資家が歓迎していることを示します。
株式の持ち合いによってグループを作り、「グループ会社なのだから取引は安泰だ」と互いの取引の緊張感が薄れていたら、企業の発展にはマイナス要因です。
長い目で見れば、持ち合い関係が解消され、取引に緊張感が生まれた方が、個々の企業の製品力の強化につながるでしょう。
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トヨタは29日、10月の生産販売状況を発表しました。
トヨタ自動車(10月)
グローバル販売 890241台(+7%)
(国内販売) 133996台(+17.8%)
(海外販売) 756245台(+5.2%)
グローバル生産 900285台(+16.7%)
(国内生産) 282695台(+39.2%)
(海外生産) 617590台(+8.7%)
輸出 180618台(+47.5%)
10月のトヨタの販売・生産は引き続き好調に推移しています。29日に発表された10月貿易統計(確報)において、自動車輸出は1兆6400億円(+35.4%)、台数ベースで54万台(+22.8%)となりました。自動車関連企業の10月の月次収益は、引き続き高い水準となります。このあたりの認識は、明日30日発表の10月鉱工業生産指数の内容も確認したいと考えます。
11月29日午後3時10分記