「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.659~みなさま来年もよろしく】
今年もいよいよあと数日でどん詰まり。ロシアのウクライナ侵攻も激しさを増し、遂にはウクライナがロシアの基地を攻撃、うかうかしていると本格的な核使用等と言う恐ろしい事態も想定されるようにもなって来た。この戦争はるか彼方のものなどと考えている向きも多いが、これには日本も結構関わっているともいえる。と言うのもこの端緒になったロシアのクリミア占領。この時ウクライナは殆んど何も抵抗しないまま占領されてしまった訳だが、主要大国のほとんどは国連でも大反対した。だが北方領土問題などもあり、当時の日本政府は結構あいまいな態度に終始した筈。これがどれだけ影響したかはしかとはしないが、ロシアはこのクリミア占領に味を占めたことは間違いないし、ウクライナ与しやすし...と考え安易に侵攻を始めたのも、この侵略戦争の要諦部分だと思う。まあいずれにせよ早くこの戦争が終了することを、心から願うばかりである。
ところで今年のジャズの1枚だが、国内編だけで海外編の方はどうしたんだ...とあるジャズ関係者から指摘された。と言うことでこのどん詰まりコラムで、それを処理してしまおう。こちらも色々と刺激を受け愉しませてもらった、趣きの異なる2枚を挙げたい。
1枚はぼくの好きなラテンジャズ作品から...。80代後半になっても依然健在でNYシーンに君臨、その活性化に邁進続ける、ザ・キングことエディー・パルミエリ(p)が、現在のNYラテンジャズのトップをひた走るカーティス兄弟(ザッカイ(p)&カーティス(b))。彼等をメインにした新プロジェクトのプロデュース役を務めた、話題のアルバム『ソニード・ソラール(太陽の音)』。パルミエリも2曲でゲスト出演しており、新プロジェクト名がそのままアルバムのタイトルで、ルイス・フーシェ(ts)などの逸材も参加する、4管編成と3人の打楽器隊と言う9人の大所帯作品。熱さと哀愁たっぷりのラテンジャズはこれで決まりと言った感じで、21世紀のラテンジャズここにありの満足感を得られるもの。そしてもう1枚は、今や白人ドラマーの代表格で故デビッド・ボウイとの共演でも知られる売れっ子、マーク・ジュリアナの最新作『ザ・サウンド・オブ・リスニング』。こちらは前者の対極にある様なコンテンポラリー・ジャズアルバムで、シャイ・マエストロ(p)ジェイソン・リグビー(sax)等、NYの俊才達を伴ったマーク・ジュリアナ・ジャズカルテットによる最新作。深遠・静謐でいて軽快さも伴った充実の音世界が展開され、自己の内面世界を深く見つめ直す、ジュリアナの新たな地平が提示されている。以上少しひねった選択ですが、両者ともに22年のシーンを飾る優れた作品です。
我が「テイスト・オブ・ジャズ」は、ラジコのタイムフリーランキングで、全国第2位ないし3位と言う望外の好結果を年間通して維持し続けており、来年もこの好調さを保ち続け年始から突っ走る所存です。皆さま方もスタジオに呼んで欲しいゲストの方がいれば、是非係迄お知らせ下さい。希望が叶うかは何とも言えませんが、出来るだけ努力するつもりです。なお来年初のゲストは、ムレサンの愛称で知られるギタリストの中牟礼貞則さんです。来年ムレさんは何と齢90才。飄々として淡々。物事に拘らないその姿は実に潔いもので、面白い話も沢山です。来年もまた色々と全てに於いてよろしくお願い申し上げます。
【今週の番組ゲスト:日本ジャス界のレジェンド"ムレさん"こと、ギタリストの 中牟礼貞則さん】
M1 「Running Out of the Gas」(『三好"3吉"功郎 meets 中牟礼貞則 Guitar Duo』より)
M2「Feather Bed」(『中牟礼貞則 孤高のジャズインプロヴァイザーの長き旅路』付属CDより)
M3 Come Rain or Come Shine(2022) 「ジェネレーションズ・ギター・トリオ」
M4 「Time Remembered」(『Detour Ahead ~ソロギター・ライブ・アット・エアジン』より)