「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.707~天国と地獄の台湾取材旅行~】
それは4年振りの台湾取材旅行の10日ほど前のこと。前日は大いに盛り上がった早稲田ジャズ研の60周年コンサート。かなり気を良くして帰宅、翌日は早朝から長距離バス(今は運転免許返納しているので...)で追分の山荘に向かい、恒例の水抜きなど小屋閉め作業を行っていた時だった。テラスに落ち葉が沢山降り積もっている。掃くだけでは駄目で長板で流し出す作業を行っている最中、数往復終わっていざ次に...と思った時、下に転げ落ちてしまったのだ。1.5メートルほどの高さだが仰向けに転げ落ちたので最初は何が...と、自分でも分からなかったが胸部を痛打したのは間違いなく、流石に声も出ない。これはやばい...と、直ぐに台湾取材のコーディネイターのⅯ女史にTEL、もしかしたら台湾駄目かも...と伝えようと思うのだが、うまく声にならない。「どうしたんですか...」といぶかる声は分かれども上手く伝えられない...。数回のやり取りの間にようやく胸を強打した由が伝わる。
直ぐに救急車を...と言うがどうにもならない。20分ほどしてようやくタクシー到着で、町の病院に行きレントゲンを撮りろっ骨骨折が判明、但しこれには何も為す術がなく痛み止めを飲み、ただコルセットを付け骨のくっつくのを待つだけ...とのこと。痛みの引きは早くて2週間強、全治は...との宣告。現代医学も頼りないことこの上ない。そのうえ車も無しなので帰京も叶わない。ようやく手配して帰京。その後は数日ただ寝るだけ。この間ジャズ関係者の追悼会(結構亡くなっている)や祝賀会など、続いていたが全てキャンセル、ひたすら台湾取材旅行に備えて養生を...。その間中野区から依頼のジャズ講座と台湾特番の1本目の編集作業だけは、どうにか仕事を熟し、ひたすら忍従の日々を送った。
このコケの一念が通じたのかかなり難しくはあったが、台湾取材の当日はどうにか羽田飛行場まで辿り着くことが出来た。あとはスタッフ(と言ってもアナウンサーを入れて最少の3名)と合流、無事に飛行機に乗れた。台湾観光協会などへの事前取材では、円安の影響もあり台湾へ行く日本人観光客の数は余り伸びてはいない...とのこと。そうならば...と体の痛みもあって、結構遅めのカウンター到着だったが実際は全く異なり超満員、カウンターは押すな押すなの盛況振りで、痛みの状況を説明し少しゆったり目の席を確保してもらう。交渉役のⅯ女史には謝・謝。狭い席で痛みは引かないがどうやら我慢し続け、台北の街が見え「101」や「新興三越」などの高層ビルが見え始めると、4年振りだけに懐かしくもあり心も少しばかり踊る...。ひたすら頑張るだけだぞ...と一瞬心に誓う。
それからはかなり無理を押して、台北の街を右往左往しながら取材を敢行。ゲストはなるべくホテルに来てもらっての取材だったが、終わるとやはりガックリ。夜は夜で懐かしい面々、かつて世話になった面々...との会食続き。そうでなくてもチャンジ―(爺さん)だけに体に応えるのだが、その上コルセット付けの病み上がりの身。更に本当に少ない取材経費だけに、食事代も気になって旨い酒や飯も余りのどに通らない。貧乏取材は本当に辛いものである。自己肯定感の低いぼくなのだが、こうなるとマラソンランナーの有森裕子風に「我ながらよく頑張った、自身を褒めてやりたい...」などとも思ってしまう。まあこれには何といっても、病身・我儘のチャンジープロデューサーを、好フォローしてくれたⅯ女史とアナウンサーのY氏。この2人のスタッフに心から頭を下げるしか無い。2回目の台日友好特番は12月22日放送予定で1時間番組です。期待して聴いてもらえると大変に嬉しいです。チャンジ―なりに色々苦労しただけに...。
【今週の番組ゲスト:「tail wind」のギタリスト鈴木禎久さんとサックスプレイヤーの三木俊雄さん】
2ndアルバム『KUON 久遠』から
M1「I'll Find You Again」
M2「遮光器土偶」
M3「Not Yet」
M4「Remenbrance」