「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.717~佐藤俊太郎編集長~】
この所ジャズ関連の記事が余り無いではないか...と言うお叱りのメールを、このコラムのかなり熱心な読者であるジャズ関係者の一人から頂いた。確かにそう言えばこの所、番組出演者などに触れることは余り無かった...と深く反省。先週は本当に久方振りにピアニストの川上さとみさん~プレーも容姿も秀麗な方です~が、初のアナログ盤によるトリオアルバムを持参して、スタジオに遊びに来てくれた。またこれからも西山瞳さんなど有力な女流ピアニストも、次々登場することになっているが、そんな結構豪華なゲスト陣を迎えている最中なので、今週のコラムでは久々に番組のゲスト紹介でもしてみようと思う。
その今週のゲストだが、昨年秋に創刊された新ジャズ雑誌「Jaz.in」の代表兼編集長の佐藤俊太郎氏である。氏には昨年の雑誌刊行時にも登場してもらい、雑誌のコンセプト、編集長としての抱負などを伺ったが、今回はまあ順調に進んでいるとも見える新雑誌の編集長として最近のジャズ界の話題やお勧めアルバム等を紹介してもらおうと言う趣旨。題して「佐藤編集長のジャズシーン・トピック」。この企画は3月間に1度のレギュラー企画にしたいとも考えているのだが...。
その新シリーズ(?)記念すべき初回となる今回は、ちょうど「Jaz.in」の今月号で企画した23年度のジャズアルバム・ベスト作品からの紹介と言うことにした。これはぼくも含め10数名のジャズライター達が選んだ、10枚のベスト作品(国内盤・輸入盤)の中から佐藤編集長もお気に入りのアルバムを4枚紹介、併せて最近のジャズシーンのトピックなどにも触れてもらおうと言うもの。ぼくもこの10枚を選ぶ企画、数多いアルバムの中からの選出だけに結構悩まされたものだが、どうにか10枚を選んで編集部に提出した。ぼくがベストに選んだ作品は、松本治と大野えりによるエリントン集『デューク・オン・ザ・ウインド』だった(この2人も間もなく番組に登場する予定)が、佐藤氏は残念ながら番組ではこのアルバムは取り上げなかった。ぼくが選んだ10枚の中からはパット・メセニーとフレッド・ハーシュ&エスペランザの2枚を番組では紹介したのだが、その他のアルバムは下記掲載通り...。
ところで佐藤氏は元々ラジオマンで、FM東京の子会社で番組制作の仕事をしていたのだが、その後「Jaz.in」の前々身にあたる名門ジャズ誌「スイング・ジャーナル」(今は廃刊)に転職。そこで編集マンとして腕を磨き、同誌が廃刊になってからは、そこの編集長だった三森氏に誘われ後継誌とも言える「ジャズ・ジャパン」誌の副編集長格として、様々なジャズ関連の仕事を熟していた。その矢先に三森氏が急死、以降色々な問題も山積の中で彼自身が日本のジャズ誌の灯を絶やすな...という信念のもと、新雑誌を立ち上げ今日に至る...と言う、結構ドラマティックな人生を送って来た好漢である。元々その出発点がラジオと言うこともあり、ぼくはかなり彼の仕事っぷりに関心があったのだが、三森氏の突然死とその後の新雑誌立ち上げ迄、出来る範囲でバックアップして来たつもり。それもどうやら軌道に乗りつつある様で、まあ今は一安心と言った感じ。「色々大変ですが、頑張りますよ...」と言う彼の一言は、日本のジャズ界にとっても確実に嬉しいものの筈である。
次号はオーディオにスポットを当て、ジャズオーディオ業界の最高峰とも言えるジムランことJBLを特集、オーディオとジャズの新たな地平を提示するんだと張り切る佐藤氏に、熱いエールを送りたい。
【今週の番組ゲスト:ジャズ専門誌『Jaz in』の編集長 佐藤俊太郎さん】
M1「A WISH / Fred Hersch & Esperanza Spalding」(『Alive at the Village Vanguard』より)
M2「Chicago blues / Joshua Redman(『Where Are We』より)
M3「Perceptions (feat. Jason Moran) / Meshell Ndegeocello」(『 The Omnichord Real Book』より」
M4「p.c. of belgium / Pat Metheny」(『Dream Box』より)
M5「A Ripple / 竹内直 & 市川秀男」(『SYMBIOSIS』より)