「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.687~こんな街に住んでみたい】
地下鉄の駅にブック棚のようなものが設置されており、そこにフリーペーパーが置かれているのに、気づかれる方も多いことと思われる。そのフリーペーパーはいくつか種類があるようで、その多くは都内の見所や新店舗情報、または食事処の紹介などのありきたりのものだが、一誌だけ他とはかなり編集方針が異なる、ある意味硬派なフリーペーパーがあって、それを読むのが今ぼくが都心に出た時の秘かな愉しみになっている。その名は「メトロミニ」。いかにも地下鉄の駅に置かれているフリーペーパー...といった感じの雑誌名だが、この内容がかなりユニークで面白い。メインテーマは「ローカル」。豊かな暮らしのヒントはローカルの日常にある...などと、巻頭で堂々と宣言しているその編集方針やまことに良しなのである。ここでは最初に編集長が自身の想い(ローカルや旅などについての...)を語り、その後にスタッフが集めたローカルなモノ・コトなどのページがある。そこでは盛岡や長崎などのまさに日本全国の地方のトピックスが取り上げられ、地方創生を地で行く、地味ながらも興味深い内容になっている。
先日読んだその最新号の特集は「こんな町に住んでみたい」。地方移住などを特集したものだが、そこに写されている一枚の写真。そこには地域の活性化に尽力している、おばちゃんから若者までが一緒に写されているのだが、どこか見たことのある景色...と思ったら、追分の山荘からもほど近い古都「小諸」の駅近くの風景がバックだった。そしてその特集も新旧のDNAが息づき混ざり合う町~小諸とあり、この町大好きなぼくとしては実に嬉しくなってしまった。
今この小諸や山荘のある御代田また佐久市など、長野県の東信地域では日本全体の傾向に反し住民が次々と増えているのだ。これは一つには、軽井沢という日本有数のリゾート地がすぐ近くにあること、さらに新幹線により首都圏への通勤も可能...等といった利点も、大きく作用しているのだが、それだけではなくそれらの町には、かなり熱心に地域おこしを図っている人がいることも大きな要素になっている。その代表格が小諸市で、市役所の移住担当が熱心な人らしく、彼らの努力が人口増加~都市からの移住に大きく貢献しているのである。そしてもう一つの要素は、商店街の活性化である。元々北國街道沿いの重要な城下町にして宿場町だったこの町には、島崎藤村や正岡子規などの重要文化人も数多く関係し、興味深いお店も数多くあったのだが、新幹線が佐久市を経由することになり町は一気に寂びれてしまった感も強かった。その商店街に最近若い人達が新たなレストランなどを作りそれが評判を呼び、また若い家族などを呼び集め、人口が増える...と好循環に働き、今はかなり面白い状況になっているのである。
そう言えばよく通う小諸市の市立図書館は、その新しさや使いやすさで表彰され、ぼくが日本一と信じているスーパーマーケットの「ツルヤ」の本社はこの小諸市店舗の脇に在る等、この町は街並みと水(千曲川)と山(浅間山連峰)がうまく調和した高原都市なのである。そこが住みやすい街を目指し、若い家族などが集まりつつある状況と言うのは、日本の地方創生にとっても大変に重要なことだと思われる。小諸良い街、一度はおいで...なのだが、こうした街を都会人に紹介してくれるフリーペーパーも、また素晴らしい雑誌として称賛に価すると思う。それをまたタダで読めるというのだから、まあこんなに喜ばしいことも無しなのであるが、いつまでも元気に雑誌を続けてほしいものと切望する。
【今週の番組ゲスト:ジャズドラマーの江藤良人さん】
M1「Funky Chu」
M2「The Circle Of Color Emotions」
M3「The Star-Crossed Lovers」
M4「Whoa! 」