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5月15日の「アサザイ 今日の1社」は、トーセイ(8923・東証プライム)を放送しました。

今回は、常務執行役員 経営管理本部担当 藤原 宣人 様にお越しいただき、事業の特徴や強み、成長戦略等についてお話を伺いました。

 

井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記

トーセイ(8923)(東証プライム市場)

ラジオNIKKEIにて収録

お相手は、常務執行役員 経営管理本部担当 の 藤原 宣人 (ふじわら のぶと)様

 

「キーワードは『再生』」

 

東京23区を中心として、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県でユニークな不動産事業を展開されていらっしゃるが、現在の代表取締役社長である山口誠一郎氏が1994年に休眠会社を買い取って事業を開始したことから、実質的には今年で31年目を迎える会社である。

 

 その1994年当初に始めたのは不動産管理事業と分譲マンション事業であったが、その2年後には、当時珍しかった中古不動産を買い取って再生販売する事業を開始し、2004年の上場によって資本と情報量、人材を拡大させたことにより、オフィスビル、商業施設、物流倉庫など、取り扱い不動産の幅を広げるとともに、事業領域についても、不動産ファンドのアセットマネジメント業務、ホテル運営、不動産クラウドファンディングなど、不動産の関連事業にまで拡大させていった。

 

「ポートフォリオ経営」を自認する6つの事業の1つ目が「不動産再生事業」であり、築年数の経過等により資産価値が劣化した中古のオフィスビルやマンションを取得し、改修を行い、投資家やファンド、個人へ販売している。その"改修"とは、デザイン性・利便性・セキュリティの向上、環境配慮仕様などを施すことを指す。

 

 2つ目の「不動産開発事業」は、土地を取得し、オフィスビル、商業施設、マンション/アパート、ホテル、物流施設、戸建などを開発し、販売する事業であるが、社内に一級建築士事務所があり、「モノづくり」と「品質」にこだわったうえで、ここでも環境や社会に配慮した不動産の開発を推進しているという。

 

 また、「不動産賃貸事業」は、東京圏において、トーセイグループが所有しているオフィス、マンション、商業施設などを賃貸し、安定的な収入を確保する事業であり、「不動産管理事業」では、建物管理や修繕工事の請負、テナント管理、リーシングなど、総合的なプロパティマネジメントを行っている。

 

 比較的新しい事業である「ホテル事業」では、首都圏を中心としたホテルブランド「TOSEI HOTEL COCONE」など、8棟のホテルの運営を行っているが、新規のホテルの取得にあたっては、再生事業、開発事業と連携し、新築の開発のほか、中古オフィスビルのホテルへの再生・コンバージョンにも取り組んでいるという。

 

そして、同社の特徴的な事業とも言える「不動産ファンド・コンサルティング事業」では、投資家から不動産の取得・運用・管理を受託しており、この事業を通じて得られた投資家ネットワークが、不動産再生、開発における売買事業にも活かされているとのことであるが、2002年に開始したこの事業は、国内外の投資家から不動産ファンドの運用管理を受託しており、現在では預かり資産残高2.3兆円と、業界でトップクラスの存在感を示している。ファンド事業は、通常、ファンド専業で行う会社が多いが、同社グループは、他の不動産事業とシナジーをもってファンド事業を営んでいるという点が極めてユニークである。

 

これら6つの事業は、「売買事業」と「安定事業」に大別することができる。

売買事業は、収益機会も大きいが、不動産市況の影響を受けることも当然ある。そこで同社は安定的な収益の確保が可能な事業を組み合わせているのだが、営業利益に占める割合はほぼ同じ水準で推移しており、「安定事業」の利益だけで、固定費をカバーすることができている。足元の自己資本比率は約33%、ネットD/Eレシオは1.3倍程度と、同業と比較すると健全な財務状態を誇っており、この収益構造と強固な財務基盤が、成長に向けた取り組みを下支えしていると言って過言ではない。

 

 同社は、今年度から中期経営計画「Further Evolution 2026」を推進しているが、これは「長期ビジョン2032」の第1フェーズという位置付けであり、この中期経営計画では、事業領域の拡大、グループ間シナジーの最大化、DXを活用した新たな投資機会の提供による事業成長を掲げるとともに、人材育成、資金調達力の強化、財務健全性の維持など、事業成長を支える事業基盤の強化も併せて注力するという。

 

 多くの不動産会社が倒産や上場廃止に追い込まれた2008年のリーマンショック時も、同社は赤字決算に陥ることなく乗り越えることができた。

当時を振り返り、需要が減少した投資用不動産から需要が底堅いエンドユーザー向け住宅に売買事業の軸足を切り替え、安定的に収益が獲得できる賃貸や管理やファンド事業により経費を賄ったと語られた。

 同社の事業に共通するキーワードは『再生』。

 不動産業界が資産バブル崩壊時以来の混沌とした状況に包まれていた中、同社は既に業界全体の"再生"を見据えていたのかもしれない。

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取材後記は以上です。いかがでしたか。

 

本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております。

また、今回は動画版も公開します。

ラジオ放送に入りきらなかった内容も、スライドを使ってわかりやすく説明していますので、ぜひこちらもご覧ください!

 

(関連ウェブ)

■動画版 https://youtu.be/ypUtpBmLIOc

■トーセイ IRサイト https://www.toseicorp.co.jp/ir/

 

常務執行役員 経営管理本部担当 藤原 宣人 様と

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